1991年6月末、岡山県の東部を走っていた1つのローカル私鉄が姿を消しました。片上駅から、山陽本線の和気駅を経由し、柵原(やなはら)駅まで33.8kmを結んでいた同和鉱業片上鉄道です。柵原鉱山の鉱石輸送など貨物主体の鉄道であったため、もともと旅客の利用は少なく、貨物がトラック輸送に切り替えられると、命脈を絶たれる形となってしまいました。

こちらは終点に近い、吉ヶ原駅と柵原(やなはら)駅の間に残る廃線跡。廃止後25年が経とうとしていますが、築堤がしっかりと残っていました。

こちらは廃止前、現役当時の片上鉄道の車内です。1991年4月撮影。

同じく廃止前の片上鉄道。最晩年は1日3往復まで減便されていました。写っているのは、キハ312で昭和28年製。国鉄キハ04形気動車の設計を生かす形で製造されました。

同地点から、柵原方面を振り返ったところ。同じく1991年4月です。吉井川に沿うのどかな山里に鉄道の音が響く最後の春となりました・・・。

そして25年。2016年2月の同地点。道のカーブこそ、そのままですが、風景は大きく変わっていました。目の前には駅舎のようなものまで見えます。

そして、信号機。ちゃんと点灯していました。そう、廃止された同和鉱業片上鉄道は、吉ヶ原駅を中心として整備された「柵原ふれあい鉱山公園」の一部として、今でも残されているのです。

そして、そこにキハ312が。

さきほど見えていた黄福柵原駅に到着しました。

当時の片上鉄道の車両は、月に1度、片上鉄道保存会の手によって運転されています。1日会員券は大人1人300円。これで運転される列車に乗り放題となります。


ということで、乗車。

昭和28年から、すでに63年。動いているだけでも奇跡的ですね。廃止前に撮った車内の写真と、ほとんど変わらぬ姿。

灰皿なども、そのまま。

ただ経年により、椅子は傷みの出ている場所も。

当時と、そっくりに復元した、車内券も発行してくれます。

そして、吉ヶ原駅に向かって、出発進行。

★↓写真をクリックすると拡大表示します↓★

わずか500メートルほどですが、立派な鉄路。吉ヶ原駅に到着です。以前は、ここから構内の線路を往復するだけでしたが、2014年11月に黄福柵原駅が完成して、すっかり鉄道らしくなりました。あくまで公園内の線路という位置付けですが、途中に2か所の踏切もあり、廃線跡の運転区間としては異例の長さだと思います。

そして、再び折り返し。乗客も次第に増えてきました。

ガタンゴトンと走っていきます。まるで現役の鉄道風景。

こちらの便は、黄福柵原駅までは行かず、途中で折り返し。運転パターンは様々ですが、ゆっくりと景色を眺めるのも、いいですね。

そして再び戻った吉ヶ原駅。キハ702が始動を始めていました。調子が良ければ動かすとのこと。ものすごい白煙が構内に広がります。こちらのキハ702は、元のキハ07-5であり、昭和11年製。

整備は無事終わり、2番線に入線しました。車齢は80年。当時流行した流線形のスタイルです。ただ作るのが大変なだけで、速度アップへの効果は、まったくなかったとのこと。

もう、ここは動態保存の鉄道博物館と言っても過言ではないと思います。

流線形の窓から見る、前方風景。

車内は、いっそう賑やかさを増していました。もう、通常運転している鉄道にしか見えません。やはり鉄道車両、静態保存されるより、こんなに乗ってもらえると嬉しいですね。

踏切には、全て係員が配置されています。それでは500m先の黄福柵原駅に向かって、出発進行。

あっという間に黄福柵原駅に戻ってきました。

★↓写真をクリックすると拡大表示します↓★

25年前の廃止以前と変わらぬ姿が、ここには残っていました。

吉ヶ原駅の構内にも、当時活躍した、貴重な車両が保管されています。

そして、ここには、あの鉄道のものも。それは、また次回・・・いえ、別記事で。同和鉱業片上鉄道、廃止前の写真は、相当数残っていますので、またまとめてアップしたいと思います。

25年前の記憶がよみがえる、柵原ふれあい鉱山公園でした。

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Comment
ありゃりゃ???またしても目からウロコです!
この運転は随時やってるのでしょうか?
実は僕は一年に1〜2回は片鉄ポタと称してここの廃線跡をサイクリングしてるのです。
ただ吉が原まで行って、また片上まで戻ってくるだけで、その奥の線路には気が付いていませんでした。
今、去年に行った写真を見てみましたが、確かに線路が続いていますね。
乗ってみたいなぁ〜〜〜!
実際に神戸電鉄の粟生線も廃線になりそうな雰囲気がありますし、、、粟生から北条鉄道なんてすごく趣があって良いと思うのですが、利用客がいないと維持できないから仕方ないのでしょうか?
なんとか残してほしい鉄道は全国に沢山ありますよね。
いや〜〜!良い情報ありがとうございます!!
  • よう
  • 2016/02/19 12:02
片上鉄道保存会による運転は、月に1回となっています。ほぼ必ず第1日曜日となっていますので、狙ってポタリングに行ってみて下さい。
片上から吉ヶ原ですか。1口に言っても片道30km以上ありますね。往復だと70kmほどですから、かなりの距離です。私も自転車は好きですので、片上鉄道跡のポタリングを楽しんでみたいと思います。ブログに掲載していませんが、数年前に神戸から岡山まで、自転車で行ったりしてみました。
ローカル線は独特の雰囲気がありますね。鉄道は1度廃止されると、なかなか元には戻りません。今ある鉄路は、大切に残して欲しいと思います。片上鉄道の現役時代の写真は、今回掲載した以外にも、大変多く残っていますので、現在の様子と対比しながら、またまとめたいと思います。
色々と情報頂き、有難うございます。
暖かくなったら行ってみますね。
岡山〜神戸間を走られたんですか?健脚ですね。
岡山神戸間は道路状況が粗悪な場所もありますから、結構怖いですよね!
ローカル線に乗って旅をするってのは、最高の楽しみだと思っています。
  • よう
  • 2016/02/22 12:46
私もローカル線は大好きです。
全国津々浦々、盲腸線やローカル私鉄を、乗り歩きました。挙げているとキリがありませんが、この片上鉄道も大好きでした。廃線跡の記事が多くなってしまっていますが、やはり鉄道は動いている姿が一番素敵だと思います。
保存会の人に親切に話を聞けましたが、5月と11月の運転日が一番混むらしいので、気を付けて行ってください。
吉ヶ原駅の写真、懐かしいですね。

80年代の終わり頃でしょうか、和気から気動車ではなく、客車列車に乗り吉ケ原まで、当時のベータムービーを回しながら、乗った記憶があります(探せば実家のどこかにテープはあるはずで、デッキもひっぱりだしてデジタル化したいですね)。

窓から手を出して撮影していたら、3列ほど前に乗っていた高校生が、手を振って答えてくれたのも覚えていて、通学にも使われていたことがわかります。考えてみたら今はいい歳のおじさんになっているはず(自分もですけれど、笑)で、時のたつのは早いものですね。

その時か別の日か忘れましたが、日が沈んだ頃、吉ヶ原駅に到着し、帰りの列車を待とうとしたのですが、人っ子ひとりおらず、たいへん心細かったのも覚えています。

弾丸列車の検証の頃からのファンです。時々見にこさせてくださいね。失礼しました。
  • kee
  • 2016/06/01 03:25
kee様、コメントありがとうございます。
同和鉱業片上鉄道は、私も大変大好きなローカル鉄道で、廃止を知った時には、大変ショックを受けました。客車列車も何度か乗ったことがあります。写真は、かなり残していますので、またまとめて公開したいと思っていますが、最後の最後まで、関係者の方々にも大変お世話になり、貴重な体験をさせて頂きました。その辺りのことも、また記事にしたいと思っています。
ある日、吉ヶ原駅行の(その日の)最終便に乗った時は、一駅進むごとに人が少なくなり、最後はほとんど貸し切り状態となりました。この便は本当の最終で、もう折り返しの便もなく、真っ暗な吉ヶ原駅に降り立って、誰もいなくなると、大変寂しい光景でした。駅員さんが大変心配してくれましたが、今から考えると、よく無事に帰れたものと思います。
弾丸列車の記事は、長くなっておりますが、ご興味を頂き、ありがとうございます。今後とも、よろしくお願い致します。





   
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