2016年3月26日のダイヤ改正で消える、日本最長昼行特急「しなの」号。1日1往復だけ残された大阪−長野の直行便は、改正後、全て名古屋−長野間のみの運転になります。次第に削減が進み、細切れとなっていく長距離列車。JR3社にまたがる唯一の特急列車、441.2kmの旅。前編からの続きです。

★↓前編の記事は、こちらをどうぞ↓★

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大阪を出て1時間30分、JR東海区間、そして岐阜県に入り、関ケ原を通過しました。ここから大垣駅までの区間は、東海道本線は2つの経路に分かれます。勾配を緩和した迂回路、通称「新垂井線」経由は、登り坂となる下り線(西方向)の貨物列車や、優等列車が使うのみ。長野行き特急「しなの」は、東方向への上り線のため、通常の垂井駅経由となっています。昔は、この迂回線には「新垂井駅」が設置されており、下りの普通列車のみが停車する駅として知られていましたが、垂井駅に全ての普通列車が停車するようになり、国鉄末期である1986年(昭和61年)11月に廃止されました。

話が少し脱線しますが、こちらが別の日に撮影した、その通称「新垂井線」です。下り専用の迂回路のため当然ながら単線ですが、ここは正真正銘の東海道本線。町に近い垂井駅からは、かなり離れており、当時設置されていた新垂井駅を利用する人はあまりいなかったようです。

そしてこちらが、その新垂井駅跡です。更地となっていました。現在は垂井駅経由が東海道本線の複線のようになっていますが、正確には、あちらは東海道本線の上り線と、垂井支線が並行して走っているもの。カテ違いですし、書いていると長くなりますので、また別の機会に譲りたいと思いますが、鉄道は、奥が深いですね。

閑話休題。

特急「しなの」の車内に戻ります。383系特急電車は、制御付自然振り子式と呼ばれる電車。自然振り子式として活躍していた381系特急電車の欠点を改善した車両となっています。

鉄分多めな話が続きますが、振り子式とはカーブで車体を傾かせることによって、急なカーブでも速度を落とさずに走れるようにしたもの。自然振り子式では、いきなり振れたり、振り遅れたりすることで、乗り心地が悪化する欠点があったことから、スムーズに車体が傾斜、制御できるように、改良したもの。特急列車から新幹線まで、車体傾斜システムは、今では大変多くの車両で使われるようになっています。

ちなみに、振り子機能が働くのは中央本線に入ってからとなっており、東海道本線上では車体が大きく傾くことはありません。

また、この列車には、ジュースの自販機が設置されています。特急「しなの」は、5時間近くにもなる長距離移動の列車ですが、なんと車内販売がありません。途中の停車時間もわずかのため、ホームの売店で買うことも難しそうです。日本最長距離の特急に車内販売がないのは驚きですが、今の時代、事前に準備しておく方が無難ですね。

そして、列車は大垣駅を通過。鉄道ファンというか、青春18切符の旅をする人にとっては、ここは思い出の多い駅かも知れません。大垣夜行を受け継いだムーンライト「ながら」も、今では臨時で運転されるだけとなってしまいました。

そして岐阜を出て、木曾川を渡ると、名古屋はもうすぐ。

東海道新幹線が近付いてきました。

そして10時58分、大阪を出て2時間、名古屋に到着。今回の改正で廃止となる、東海道本線運転区間の終わりです。東海道新幹線なら新大阪から名古屋まで、約50分。時間ではまったく勝負になりませんが、値段的に見れば、当然直通しているこの列車の方が安く済みます。荷物がある場合は、乗り換えも大変ですので、乗り換えなしの直通サービスは、それはそれで有効だと思うのですが。

名古屋の停車時間は、わずか2分。さすがに名古屋からは多くの人が乗り込んで、車内はいっぱいとなりました。やはり特急「しなの」は名古屋と長野を結ぶ特急だと実感する現実です。新幹線が全国各地に伸びた今、長距離特急の廃止は当然の流れとも言えそうです。

中央本線に入って、しばらく行くと、車窓に恵那山が見えてきました。

中津川駅に着く寸前に見えた、リニア中央新幹線の看板。リニア中央新幹線は、最難関とも言われる南アルプストンネルなど、いよいよ建設に向けて具体的に動き始めました。

中津川を出ると、木曽川に沿って長野県へ。木曽川の谷筋は長く、振り子式の本領を発揮して、右へ、左へとカーブを繰り返しながら、深い谷を進んでいきます。

そして、大きくカーブする線路が見えると、東京からの中央本線と合流する塩尻駅。ここは中央本線がY字型に合流する場所。中央本線は一本の路線ですが、東京方面の中央東線と、名古屋方面の中央西線に分かれて呼ぶことも。

塩尻の駅名表示板。ここから3社目のJR東日本に入ります。

塩尻からは篠ノ井線に入って、松本を抜け、長野方面へ。篠ノ井線は現在でも、一部単線区間が入り混じっています。特急「しなの」の足取りも、いくぶん遅くなった感じ。

そして、列車はあの区間へ。

★↓写真をクリックすると拡大表示します↓★

日本三大車窓の1つ、篠ノ井線の善光寺平です。信州の平野と信濃の山々を見渡す絶景の車窓。ここの他、根室本線の狩勝峠の車窓、肥薩線の霧島高原の車窓が、昔から日本三大車窓と呼ばれてきました。どれも高度感のある高台から、見渡すような大パノラマが広がる車窓となっているのが特徴です。ただ根室本線は、現在は廃止された旧線区間となっており、現在の車窓が日本三大車窓に入るのかは賛否が分かれるかもしれません。

雄大なカーブを描きながら、次第に高度を下げると、長野まではもうすぐ。

北陸新幹線も見えると、いよいよ旅の終わり。

13時53分、大阪から約5時間。定刻に長野駅に到着しました。

大阪から400km以上。お疲れさまでした。

日本最長昼行特急、大阪−長野の旅。国鉄解体後、もう早くも30年。効率化と細分化が進んだ結果、夜行列車も長距離列車も、どんどん数が少なくなってきました。

本線であるはずの幹線も、整備新幹線の開業と引き換えに、次々と第三セクター化され、鉄道地図は大きく変わりつつあります。

長野駅には、今度は大阪行きの「しなの」の表示がありました。ここで大阪の行き先が見られるのも、もうあとわずかですね。

鉄道の歴史の流れに、過ぎ行く時代を感じた、特急「しなの」9号の旅でした。

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